こぐまの多摩あるき武蔵野あるき

昭和から平成へ、この世代特有の競い合いに立ち向かい、
たくさんの壁を真っ向勝負で乗り越えてきた貴方へ。

久しぶりに、家族・親族との賑やかな時間が過ごせて、本当に楽しそうでしたね。
楽しみ過ぎて、夜中にアメージンググレイスを歌ってたんだとか。
歌い手じゃなくて、ハーモニカ演奏家のはずなのに、
今から歌の練習だなんて、張り切り過ぎだよ。



特別な4日間を過ごした、あの部屋のあの窓からは、
貴方と、貴方の子どもたちが生まれ育った武蔵野の代名詞が広がっていました。
よく見えるようにと、双眼鏡まで持ち出していましたね。

左手奥に見える小高い丘は、まだ白髪もない若き日の貴方が、
幼い次男坊を連れて登った八国山ですよ。
彼にとっては、あの日からここが、安らぎの森となり、
人生の荒波を乗り越えるための力を、奮い立たせてくれる存在になりました。

天国へ旅立った貴方へ。
仕事、パソコン教室、ギター、ハーモニカ。
やりたいことをやりつくしました。
いっぺんに三人の初孫を持つおじいちゃんになった貴方は、
初めは照れくさそうに自分のことを「おじさん」と呼んでいましたね。
半年ちょっとしか「おじいちゃん」をさせてあげられなったことが悔やまれます。
孫たちと、そしてその母親、つまり僕の妻を愛してくれた貴方。
日本一の父親、おじいちゃんでした。
ありがとう。ありがとう。ありがとう。

しなやかな強さを持つ貴方へ。
いつもお世話になっている、あのお寺さんが、
あなたの顔を見ながら、こう称しました。
「しなやかな強さを持つ人だった。この人も、おじいさんも。」

「しなやかな強さ」、これがこの家系の男に共通する性質なんだ。
兄や僕も、これは受け継いでいかなくちゃね。
きっと、それと合わせて意地っ張りで頑固な部分も受け継いじゃうんだろうけどね。
「筋の通らないことが許せない」という僕の性格も、
もしかしたら貴方から受け継いだもののひとつなのかもしれない。

「血だよ、それは」と、ある友人がこの性格について言ってた。
母方・土方家の血だけではなく、貴方の血が流れている証なんだ、きっと。

まだまだ語りたいことは尽きないけど、
今日はここまで。

貴方と母の息子として、兄の弟として命を授けてくれて、本当にありがとう。
兄と一緒に、母を助けていくよ。

きっとまだ、村山の実家あたりでウロウロしてる貴方へ。
先に旅立った愛犬あっちゃんが迎えに来てるはずだから、
久しぶりに一緒に散歩しておいで。

あの世でも、お元気で。



2013年9月14日午前、父が逝去しました。享年65歳。
通夜式　9月17日18時～
告別式　9月18日13時～
式場　ベルホール（東村山市恩多町2-41-3）